研究テーマ

ボトムアップ型健康啓発活動

本学経済学部経営学科(教授・磯山優先生)との共同研究です。これまでの健康啓発活動の常識とは全く異なり、中学生・高校生を主体としたボトムアップ型健康啓発活動を展開する方法の解明に取り組んでいます。具体的には、中学校や高等学校等と連携し、中学生や高校生が自分の家族に働きかけることで中高年齢者の検診への参加率を高め、地域の健康啓発活動を促進していきます。


CKDと酸化ストレス

CKD(慢性腎臓病)は透析の予備軍であるだけではなく、心血管疾患の重大な危険因子であることが、21世紀に入ってから確認されております。私どもはこのCKDと心血管疾患との関係の背景に「酸化ストレス」が関与しているとの作業仮説のもと、アルブミン酸化還元比、血漿キサンチンオキシダーゼ活性などを主指標として、横断的研究・前向き研究・介入研究などを展開しております。2023年度からは、検討対象をヒト以外の哺乳類も含める形で、さらなる研究展開を図っております。


糖尿病性腎臓病の病態生理解析

糖尿病性腎症(DN)は透析導入における最大の原因疾患ですが、その詳細な病態生理や効果の高い介入手段については未だ不明な点が多い状況です。

私たちは、自身の過去の検討から、DNにおける「尿細管傷害の重要性 (Tubulo-centric theory)」に着目するとともに、DNにおける尿細管傷害のメカニズムとして「フォアグラ仮説」を提唱し、更なる検討を進めています。


透析療法に関する新規診療手技の開発

当施設は腎生検・シャント造設・腹膜透析カテーテル挿入といった、腎臓内科医による「インターベンショナルネフロロジ―」を積極的に推進しておりますが、内科医ならではの視点で新規手技を開発し、論文化を進めています。

このように私どもが論文として報告した新規手技のいくつかは、国内外のガイドラインにも引用されております。


健診コホート解析

井上和男先生(当講座客員教授)のご指導のもと、10000人を超える健診コホートの解析を腎臓内科の立場から行い、論文として発表しております。本研究を通して、2023年には「正常域の低尿酸血症が腎機能早期低下のリスクである」ことを世界で初めて前向き検討として報告し、広い注目を集めています。